『重飲食』はどんな店?和食は重飲食でフレンチは飲食店?重飲食の定義が気になる‼ 

飲食店を出店したい。
いざ貸店舗探しを始めた時にぶつかる疑問。
『重飲食』『飲食』『軽飲食』の違い。

それぞれの違いがよくわからない。
『重飲食』に該当する店って?
『飲食』のお店とどう違うの?

イマイチわからないその定義。
検証してみよう!

サニー

ジョー、疑問なんだけど『重飲食』って?
焼肉とか焼き鳥が『重飲食』っていうのは私もわかるけど、イタリアンやフレンチも『重飲食』なの?

ジョー

よく気が付いたね、サニー。
実は『重飲食』や『飲食』の定義が業界では微妙なんだよ。

サニー

え?どういうことなの?

Contents

『重飲食』『飲食』『軽飲食』の線引きが微妙

不動産業界において、「飲食店」は『重飲食』『飲食』『軽飲食』などにカテゴリー分けされています。
しかし実のところ、そのカテゴリー分けにはきちんとした定義があるような、ないような、という感じです。

私の感覚ですが、おそらく調理する時の重度によって分けられていると思います。

調理の重度って?

食べた後の感覚と言えばわかりやすいですかね。
ガッツリ系は重くて、胃にもたれるっていうのと同じ感覚で、重いものから軽いものに分けている感じです。

焼肉、揚げ物、天ぷらなどの脂っこい食事をすると、ご飯やパンなどの炭水化物に比べて消化に時間がかかりやすく、胃にかかる負担も大きくなり、胃もたれが起こりやすくなると言われています。

調理の重度という表現よりも、飲食店は、油の使用度によって『重飲食』『飲食』『軽飲食』にカテゴリー分けしているという方がわかりやすいかもしれません。

at-home(アットホーム)のカテゴリー分け

at-home(アットホーム)at home 貸店舗プラスという画面から、貸店舗を検索できます。

「こだわり店舗検索」で「開店する業種」が選択できますが、その選択肢は

  • 重飲食
  • 軽飲食
  • 美容・健康・介護
  • 小売・販売
  • バー、クラブ、スナック
  • その他の飲食店
  • アミューズメント
  • 塾・スクール
  • その他

以上9種類に分けられています。
全ての店舗が9種類というのは少ない印象ですね。

飲食店に限ってみると、該当するのは『重飲食』『軽飲食』『バー、クラブ、スナック』『その他の飲食店』です。
しかし、特に『重飲食』でもなく『軽飲食』でもない飲食店は、どれを選択すればいいのかわかりません。
『その他』でしょうか?
違いますね。
飲食店は『重飲食』か『軽飲食』のどちらかで探さないといけないようです。

選択肢が少なすぎると、非難している訳ではありません。
そのくらい、業界でのカテゴリー分けがハッキリしてないことが、ここに現れているのだと思います。

『軽飲食』はどんなお店?

『軽飲食』は本格的な調理をしないお店になります。

火をほぼ使わない、またはほとんど使わないお店です。
場合によっては、貸店舗内にガスが通ってなく、火を使おうと思っても使えないということもあります。

家庭用の調理器具程度で調理できる料理の提供はOKという場合もあります。
家庭用のコンロで温めたスープの提供や、オーブンやレンジでチンした料理の提供程度ならOKという感じです。

レンジでチンしたものを提供されると思うと、お客さん目線ではちょっと残念な感じですが、お店側にも契約上の事情があるわけで・・・。
貸店舗の条件なら仕方ないですね。

具体的なお店としては、カフェ・喫茶店などです。

スイーツやお惣菜などのテイクアウトショップなどで、別の場所で調理し、貸店舗で販売のみということであれば、飲食店とは言わないかもしれません。
むしろ「スイーツやお惣菜(または食料品)の物販店・小売」の範囲に入る可能性もあります。
実際、飲食店は不可としている貸店舗でも、スイーツの販売のみ(調理は無し)と伝えるとOKが出る場合があります。

気を付けて頂きたいのは、飲食店不可としている貸店舗で、販売のみとして契約開始。
その後、お店で調理したものを出したくなって、事前の相談も無しに始めてしまう。
これは思い切り契約違反です。
下手をすると契約解除という話にもなりかねません。 

 
ちなみに、バーは『軽飲食』になるのか?
貸店舗探しのサイト上で『軽飲食』に含まれる場合もありますが、微妙なところです。

なぜならアルコールの提供があるからです。
おつまみ程度しか出さないお店でも、アルコールを提供するのなら出店NGという場合があります。

さらにバーは深夜営業もあります。
at-home(アットホーム)でも別のカテゴリーが用意されているように、『軽飲食』ではなく、別の扱いになる場合が多いかと思います。

『重飲食』はどんなお店?

あなたが出店したいお店は、確実にお店で調理をするという場合。

それが、普通に調理する『飲食』のお店か、本格的に『重飲食』のお店か、どちらに当てはまるのか、わからない場合がありますよね。

次は、どういうお店が『重飲食』なのか考えてみましょう。

焼肉や焼き鳥

焼肉や焼き鳥などは、常に油が出ます。
基本的に、油が出るお店はグリストラップの設置が求められます。
※グリストラップ・・・業務用の厨房に設置が義務付けられている「油脂分離阻集器」

また、焼肉や焼き鳥は煙が多く発生します。
煙が多い場合、専用のダクトの設置など排煙処理の対策も求められます。
油と煙で、これは『重飲食』と認識されています。

うなぎ

煙から連想して、うなぎ屋さんが浮かびます。
うなぎ屋さんは、煙というよりも、食欲をそそるかぐわしい匂いが漂ってくるイメージです。

秘伝の味・タレと言われるせいか、出店希望者が多くありません。
そのおかげで、うなぎ屋さんは『重飲食』かどうか確認する機会が少なく、どちらに判断されるか微妙ですが、焼肉と違い、油が大量に出るというものでもありません。
出るのは煙ではなく匂い。
なのでおそらく『重飲食』よりも調理の重度が低い『飲食』という扱いになると思います。

話はそれますが、古典落語のうなぎの話をご存じですか?
うなぎ屋さんの隣に住むドケチな人が、うなぎ屋から流れてくる『うなぎのかば焼き』の匂いをかいでご飯を食べていたところ、それを知ったうなぎ屋の店主が「匂いで集客している商売なので、それでご飯を食べていたのならお金を払ってくれ」と言うという話です。
ちゃんとオチもありますよ。知りたい人は私 サニーまで。

ラーメン・中華料理

ラーメンや中華料理も油を多く扱います。
中華料理は、ボッ!ジュワッ!炎が出るイメージもありますね。

ラーメン屋さんでも、炎が売りのお店が京都にあるそうです。
ネギ油をラーメンに注いで、お客さんの目の前でラーメンが炎上!!
炎上後、そのラーメンを食べるそうです。
おかげで外国人観光客にめちゃくちゃ人気だとか。
京都に行った時に、怖いもの見たさで一度行ってみたいものです。
その怖いもの見たさが人気の原因なら、私はまんまと戦略に引っ掛かっているということですね!

さて、ラーメンの炎上は特殊過ぎるパターンでしたが、ガッツリ油が出て、しっかり油を使うというラーメンや中華料理。
これは確実に『重飲食』と認識されています。

カレー

カレーも油を使います。
その上、香辛料のスパーシーな香りが常に漂います。

煮込み時間も長いので、長時間どころかずっとその香りがしています。
上階が住宅となっているマンションやビルでは、入居者が嫌がるため、カレーはNGという場合は多いでしょう。

ということで、カレーは『重飲食』と認識されています。

イタリアン・フレンチレストラン

イタリアンやフレンチレストラン。
これは『重飲食』と『飲食』とどちらに入るか大変悩ましいところです。

もちろん油を使いますし煙も出ると思いますが、メイン料理が常に油をガッツリ使った料理でもないからでしょうか。
料理の種類は単体でなく、様々なメニューがありますし。

オシャレな印象は大家さんに好印象というメリットもあります。
お店の造りも客層も、オシャレで大人しい。
酔っぱらってどんちゃん騒ぎというイメージもありません。

実際、大家さんや管理会社に問い合わせると、ラーメンやカレーは不可となっても、イタリアンなら相談または可能と言ってもらえる場合があります。
『重飲食』に近いようで、出店のOKをもらいやすいのが、イタリアンやフレンチレストランです。

そば・うどん

メイン料理のそば・うどんは茹でるのが基本なので、普通に調理する『飲食』のイメージです。
ただし、天ぷらなどの揚げ物があります。
中にはコロッケをのせる、そば・うどんもありますよね。
となると『重飲食』になるのでしょうか。

これも微妙なところです。
メイン料理自体が『飲食』に近く、サブメニューに天ぷらなどがつく場合がある。
揚げ物がある点を重視するかどうかで、大家さんや管理会社がOKかNGを判断すると思います。

『重飲食』可・相談ってどういうこと?

大家さんや管理会社がOKかNGを判断すると書きましたが、どういうことか。
先ほど『重飲食』『飲食』『軽飲食』のどれに該当するか、具体的なお店を挙げてみました。

あなたが出店したいと考えているお店が、おおよそどれに該当すると検討がついたと思います。

しかし、次に引っかかる疑問が発生しました。

』か『相談』です。
何これ?

at-home(アットホーム)のサイトに限らず、貸店舗募集をしているサイトには、募集条件に

  • 『重飲食』または相談
  • 『飲食店』または相談
  • 『軽飲食』または相談

などと記載されています。

となっていたり、相談となっていたりするこの表現、これもまたわかりずらい。
何度も言ってますが、やはり業界内でハッキリした基準の定めがないためです。

出店したい具体的なお店の詳細をその都度聞いて、大家さんや管理会社が「それなら貸せそう」もしくは「貸せます」と判断します。

『重飲食』『飲食』『軽飲食』の飲食店の出店をハッキリOKとしている場合、出店可能の『』と表示しています。

『重飲食』『飲食』『軽飲食』の飲食店は内容を聞いてから判断するという場合、出店することについて相談という意味で『相談』と表示しています。

大家さんや管理会社の回答を聞き出すまで頑張る!

油の扱いが多い業務用の厨房などの排水管は、居住用に使われている排水管に比べて詰まりやすく、しっかりとしたメンテナンスが必要になります。

『重飲食』の飲食店は、排水口や配管の詰まりを避けるために、厨房排水に含まれる油脂分や残飯、野菜くずなどを分離させる装置である「グリストラップ」の設置が求められます。
『飲食店』もこういった設備を求められることが多くあります。

このように調理の重度が重くなるほど、借主は排煙設備やグリストラップなどを取り付ける必要があり、お店作りの際にはそれにかけるコストもプラスされます。

貸す側の大家さんにしても、住居・事務所専用の建物と比べて、飲食店が入る方が心配事や負担が多くなります。
建物全体のメンテナンスが増え、ネズミなど害虫の発生や駆除などが生じやすくもなります。

もちろん、お店が原因の配管の詰まりや害虫駆除の費用は借主負担です。
総体的に建物維持の視点からも、調理の重度が高いお店ほど、できれば受け入れたくないという大家さんは多くいます。

ということで『重飲食』『飲食』『軽飲食』の飲食店の中で、『重飲食』の出店が一番難しくなります。

しかし断れる可能性が高いからと『重飲食』での出店を考えていた人が出店を諦めるということは少ないですよね。

あなたが出店したいお店がハッキリと『重飲食』とわかっている場合『重飲食』OKと言ってくれる貸店舗を探すのみです。

出店したいお店が『重飲食』か『飲食』か微妙という場合、貸店舗探しのサイトで探しにくいということもあるでしょう。
そういう時は、思い切ってサイトに掲載している不動産会社にあなたが出店したいお店を具体的に伝えてみましょう。

そうすると、不動産会社が、大家さんや管理会社に確認してくれます。
最終判断は、大家さんや管理会社の回答によります。

検索画面にも、検索結果にも、大家さんや管理会社の意思が全て反映されているとは限りません。
気になる貸店舗があったら、手間ですが1つ1つ地道に問合せするのが、良い結果に繋がりやすいかもしれません。

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