「駅チカ」「1階路面店舗」の好立地へ出店したい!それって可能?
出店を検討されてる人がまずイメージする「人通りの多い好地」への出店。
初めての出店、小規模なお店でスタート。
だからこそ、できるなら好立地で人通りの多いところに出したい、それは自然なことです。
しかし、果たしてそのような理想的な場所に出店することはできるのでしょうか。
今回は、好立地への出店が本当にできるのかをテーマにお話したいと思います。
「駅チカ」「1階路面店舗」を自力で探せる?
さて、好立地で人通りの多いところと言って、イメージするのは「駅チカ」「1階路面店」です。
「駅から近い」いわゆる「駅チカ」。
「1階の路面の店舗」いわゆる「1階路面店」。
この2大好条件を”自力”で探すことは可能なのでしょうか。
ちなみに、自力と言うのは『不動産会社のテナント募集の看板や、インターネットのサイトに掲載している貸店舗情報に問い合せをして、その貸店舗を扱っている不動産会社を通じて契約する』方法のことです。
「1階路面店舗は」見つけられると思います。
難易度が高いのは「駅チカ」の「1階路面店舗」というセットの条件。
これはなかなか難しい・・・。
難しいけど、タイミングによっては「あ、発見!」ということもあるかもしれません。
なので、簡単に見つけようと考えるのは甘い。
地道にコツコツ探し続けることがミソだと思います。
それを言われると・・・という店舗の条件
自力で貸店舗を探す中、お目当ての店舗を見つけたので不動産会社へ問い合せをしてみた。
すでに申し込みが入っているということがわかり、タイミングなので仕方ないとあきらめた。
でもせっかく問い合せしたので「こんな条件の店舗情報が手に入ったら連絡ほしい」と依頼してみる。
もしくは、不動産会社の営業から出店条件を聞かれたので、条件を伝えてみた。
不動産会社からすぐに「ありましたよー!」と連絡がくるかもしれない。
そんなウキウキする気持ちわかります。
今日か、明日か、とつい連絡を待ってしまいますよね。
ところで、不動産業界は基本的に成功報酬。
営業は成約(賃貸借契約が締結)になってようやく報酬が得られます。
なので成約になるまで、全力で借りたい人をサポートしてくれます。
営業はノルマもありますから、頑張らなければならないのです。
しかし、貸店舗探しにあたり、この希望を言われると困ってしまう・・・という条件があります。
それを、あなたは言ってませんか・・・?
それが、
「駅チカ」の
「1階路面店」で
「賃料は●●万円以下」または「賃料の坪単価は●万円以下」というものです。
「駅チカ」の「1階路面店」は、簡単ではありませんが見つかる可能性はあります。
しかし「賃料は●●万円以下」または「賃料の坪単価は●万円以下」と予算を限定されると、難易度が急上昇!
予算を加えられてしまうと、すごく厳しくなってしまう、というのが本当のところ・・・。
要は、あなたの希望した条件は「安くて、集客率の高い人通りの良い場所」ということになります。
「集客率の高い人通りの良い場所」は基本的に「高い」。
エリアによっては、不動産会社の人間も驚くような高値が設定されていることもあります。
二度見して、声に出して確かめるくらい、ビックリ価格があるんです。
もしあなたが「上記のような条件の店舗情報が出たら教えてほしい」と不動産会社に依頼していたら、残念ながらずっと連絡がこないことになるでしょう。
ご自身で店舗情報をいくつかご覧になった方は、既におわかりになっていると思います。
「こんな店舗情報があったら即出店するんだけど」という条件の情報。
そもそも、それってあるのか?
というあたりから疑問が生じます。
もし存在したとしても、すぐに誰かが借りてしまいます。
もしくは、その情報は一般に出回らない可能性があります。
「高いけど集客力のある駅チカ・1階路面店舗」とするか。
「駅から離れるけど割安な1階路面店舗」とするか。
まずはそこから、あなたの希望の条件に優先順位をつけるなど、条件を再検討してみてください。
不動産会社からの提案に期待していい?
『こちらの条件を伝えていれば、多少条件が違ってても「これはどうか?」って提案してくれたりしないの?』と思うかもしれません。
不動産会社の営業は、特に貸店舗に強い営業には、毎日次々と店舗情報の問合せがあり、案内や契約に慌ただしいので、情報提供の依頼を受けているお客様の物件探しをする余裕はそれほど多くありません。
それでも、「物件が出たらすぐに契約したい!」という出店への強い意志が見られれば、少ない時間の中でも、営業は『よし提案しよう!』と気合いが入ります。
ところがいざ探そうと思ったら、希望の条件が厳しくて、まさに”掘り出し物”のような物件の場合、見つける事ができません。
そうなると先述の通り、提案のしようがありません。
そんな状況で、もし、
「ご希望の条件とは違うかもしれませんが、こちらはどうですか?」と営業から提案がきたらどうしますか?
「確かに希望の条件とは違うけど、よし検討してみるか」となりますか?
見た瞬間に「これ希望に合ってないよ」とスルーしてしまうのではないでしょうか。
もしかしたら「希望のものを探してくれないで、別のものばかり提案してきてる」と思うこともあるかもしれません。
条件とは違う提案のマッチングは本当に難しい・・・。
好立地に出したいというお客様が希望するにはそれなりの理由、こだわりがあるから厳しい条件だけども希望されている、と思うからこそ適当な提案はしにくい・・・と営業の方も考えます。
ということで、「好立地での希望の条件を伝えて連絡待ち」は、連絡がもらえるかどうか・・・。
と果てしない待ちの状況。
プラス、「不動産会社の営業からの提案待ち」は・・・。
正直なところ、あまり期待されない方が良いと思います。
あれ?いつの間に新しい店舗に変わったんだ!?
ところで、駅チカの店舗がいつの間にか入れ替わっているのを見たことがありませんか?
「あれ?いつの間に新しい店になったんだ?」
とふと気づくことってありますよね。
先ほども「その情報は出回らない可能性があります」とお伝えしました。
実は、駅チカの貸店舗は公に募集せずとも、次の借り手が見かる可能性があります。
「どうやって?」と思いますよね。
貸店舗にはそれぞれ管理している不動産会社がいます。
貸店舗の扱いに慣れている不動産会社ほど、借主からの解約予告が入ると今の借主の契約が残っているうちから、すぐに次の借り手を探し始めます。
解約予告は一般的な賃貸借契約では、3ヶ月前もしくは6ヶ月前でしょう。
その期間は今の借主が営業中なので、店舗に「FOR RENT」の看板は付けられません。
ですが、新しい借り手を探すことはできます。
それは、「空きが出たら教えてほしい」と待っているお客様へ連絡する方法です。
連絡を待っているのは法人から個人まで。
大型の貸店舗に解約が入った場合、大手法人の店舗開発担当者。
小規模な貸店舗に解約が入った場合、中小規模の法人の店舗開発担当者または個人の出店希望者の方など。
不動産会社はこういった方達から事前に貸店舗情報の提供依頼を受けているので、解約が入ると連絡を入れます。
と言っても、一斉に連絡を入れることはありません。
法人でも個人でも、出店意欲が高く、提示した条件ですぐに契約してくれそうな人から順番に連絡を入れます。
この方法だけで、駅チカの好立地ともなると、情報を表に出さず(募集をせず)とも話がついてしまうことは多々あります。
閉店工事をしているようだと思ったら、すぐに新しい店の看板がついてオープンしてしまう。
これって、裏でそういう動きがあるからなのです。
駅チカの貸店舗を管理している不動産会社って?
「えー、じゃぁその貸店舗を管理している不動産会社が知りたい!」
と思いますよね。
住宅と違い、商業ビルに不動産会社の管理看板は設置されていないことがほとんどです。
なので、どこが管理しているかわかりません。
それならその駅近くの不動産会社へ行けば見つかるだろうか、と思いますよね。
駅チカの貸店舗を管理している不動産会社は1つとは限りません。
同じ駅にある不動産会社かもしれませんが、駅チカの不動産会社とも限りません。
全く違う駅・違う場所で、物件を遠隔で管理している不動産会社かもしれません。
またお店を構えてカウンター越しに接客してくれる不動産会社もあれば、事務所だけ構えている不動産会社もあります。
それ以外にも難しい問題があります。
駅チカの商店街にはお店がずらりと並んでいます。
しかし、そもそもそのうちのどれが貸店舗なのかわからないのです。
中には、貸店舗ではなく、建物の所有者自身が自宅兼お店、またはお店として、営業している場合もあります。
もしその物件が貸店舗の建物だったとしても、建物ごと貸店舗ごとに管理会社は違います。
出店したい駅の不動産会社へ片っ端に挨拶に行っても、お目当ての物件を管理しているかわかりません。
また、どの貸店舗を管理しているという情報も教えてもらうことはできないでしょう。
なので、駅チカの貸店舗を管理している不動産会社を見つけるということは簡単にはできません。
同業者である不動産会社の営業でも、その貸店舗の管理会社を見つけ出すことができないくらいです。
不動産会社から貸店舗情報をもらうには
それでも、かすかな望みを持って、不動産会社巡りをしてみるぞ!
と思われるなら、それもありです。
しかしその時に注意することがあります。
それは、先程の話と少しかぶりますが、わざわざ訪問した不動産会社に、誰もがほしがる理想の条件での貸店舗の情報提供を依頼しないこと。
安くて、
駅から近くて、
人通りがあって、
その商売をするのにちょうどいい広さで、
1階、
その気持ちわかります。
でも、そんな条件を伝えながら不動産会社をいくつ巡っても、連絡がくることはないでしょう。
わざわざ不動産会社に足を運び、相談するのであれば、条件を絞ってください。
たとえば、
「1階10坪前後の物件が出たら、すぐに出したいです!」
という具合です。
その時に「家賃が●●万円以上なら連絡はいらないです」なんて言ってはいけません。
あなたがその駅で出したいのなら、出したい駅の相場で出店するしかありません。
貸店舗の賃料があなたの予算に合わないのであれば、そもそもその駅・エリアでの出店計画自体に無理がある可能性があります。
計画の練り直しを検討する必要があるかもしれません。
「その駅で出したい!」と思うのなら、情報をゲットするのが最優先。
その場所を確保するのが一番重要です。
ちなみに、先ほどの話で
『連絡を待っているのは法人から個人まで。
大型の貸店舗に解約が入った場合、大手法人の店舗開発担当者。
小規模な貸店舗に解約が入った場合、中小規模の法人の店舗開発担当者または個人の出店希望者の方など。
不動産会社はこういった方達から事前に貸店舗情報の提供依頼を受けているので、解約が入ると連絡を入れます。』
とお伝えしました。
さて、不動産会社に挨拶に回る大手や中小規模の店舗開発担当者の方達は、どの建物が貸店舗で、どの不動産会社が管理しているという情報を知っているのか?と気になりますよね。
実は、その情報は知りません。
それがわからないので、不動産管理を行っている不動産会社を片っ端に訪問しています。
そして不動産会社の営業と挨拶をして名刺交換を交わし、「御社管理の物件で空きが出た時は、ぜひ弊社にご連絡をお願いします。」を頭を下げてまわっています。
そしてその後も、店舗開発担当者は不動産会社へ数ヶ月に一度のペースなどで挨拶に行ったり、電話を入れて、不動産会社に忘れられないように印象付けています。
ものすごーく地味で大変な作業ですよね。
こちらの方が頭が下がります。
ですが、彼らは物件の獲得が最重要事項であり、店舗が成功する生命線だとわかっているので、必死に行動されているのです。
以上、「駅チカ」「1階路面店舗」へ好立地への出店についてお伝えしました。
まとめると
好立地への出店は、出店できないことはありません。
しかし、いつ店舗が見つかるかわからないので、いつオープンできるかわかりません。(⇒計画通りに進められない)
好立地への出店をあきらめたくない。
それなら、いつか自力で見つけたその時のために、もしくは不動産会社から連絡をもらった時のために、すぐに出店できるよう準備を整えておきましょう。(⇒資金面での準備は万全に)
これが好立地へ出店する場合の、心の持ち方・進め方だと思います。
いつになるかわからないなら嫌だという場合、出したい時期に出回っている貸店舗情報の中で、予算や条件に合うものを見つけましょう。
ただしその場合でも、情報を見かけたらすぐに行動しなければ、あっという間に誰がに申し込みを入れられてしまう可能性があります。
地道に探し続けて、いざ出店となれば、即行動、スピードが命ということですね。